たいへん気に入っていた神機種「SH-06A NERV」とお別れのときが来たようです。
SH-06A NERVとは
SH-06A NERVは、NTTドコモから2009年夏モデルとして登場した第3世代移動通信システム(3G/FOMA)のコンセプトケータイです。価格は10万円ほど。事前に予約して購入しました。全国で3万7500台の限定品となっています。スタジオカラーが全面的に監修した携帯電話で、システムフォントもマティスEBが組み込まれている極上品です。ほかにもこの時期のシャープ製携帯電話はAXISフォントが選べたりして、この機種でもAXISフォントを選択することが出来ました。AXIS好きとしては心揺れながらもマティスEBを使っていました。
何故、お別れなのか
エヴァンゲリオンファンなら知らない人はいないSH-06A NERV。2009年から7年間、僕のポケットの中で毎日を共にしてきました。本当に気に入っていて、できれば移行したくありませんでした。しかし、時代の波です。この機種はSHA-2、TLS1.0に対応していなかったのです。ほんとうに残念。SHA-1による証明書の発行は今後行われず、SHA-2、TLS1.0対応端末への移行が必要なのです。
モバイルSuica
一番影響を受けたのは、モバイルSuicaでした。2016年8月24日でモバイルSuicaの証明書はSHA-2になるようです。つまり、8月24日以降、SH-06A NERVでは、新幹線の予約や残高のチャージが出来なくなってしまうため、携帯電話の機種変更を迫られるわけです。
nanaco
このほか、nanacoでも8月以降にSHA-2非対応機器では接続できなくなるとアナウンスされています。
移行先
中高生の頃、携帯電話を買うというのは一大イベントで、カタログを見まくってどの機種がいいか熱心に選んだものでした。しかし、大人になったというか無関心になったというか、サブ端末だからなのか、ほとんど興味もなく一番新しい「P-01H」を選びました。電池が長持ちしてモバイルSuicaが使えればなんでも良いという基準でした。
中高生のころの携帯電話
いまはスマホの時代ですが、僕らが中学生だった2003年4月〜2006年3月と、高校生だった2006年4月〜2009年3月というのはW-CDMA 第3世代携帯電話やauのCDMA 1X WIN 3.5世代携帯電話が急速に普及した時期でした。2003年にauが一足早く「EZフラット」という月額4200円のパケット定額サービスを始め、2004年にドコモが3900円のパケ・ホーダイを出して追従するなど競争していました。auのほうが着うた、Operaブラウザ、EZアプリ(BREW)など若者・学生向けの先進的なイメージを作っていました。
この頃は、おサイフケータイやGPS、指紋認証なんかがドンドン投入されとにかくカタログを眺めるのが楽しかったのを覚えています。
F900iT
一番最初に買った端末が、F900iTでした。当時の機種の中でも異色でハイスペックモデルでした。タッチパネル搭載、ドコモ端末初のBluetooth対応、指紋認証、USB接続端子付きの卓上ホルダでモデム接続など富士通のマニアックな人が手掛けたであろう端末です。このオタクっぽさというかギークっぽさが大好きで選びました。動作は非常にもっさりで、この端末ほど遅いものは観たことがありません。
F904i
F904iは、いままで触ったなかでも完成度が非常に高い端末で満足していました。(いま見ても)デザインは非常に洗練されているし、位置や精度の改良で使い勝手が増した指紋認証、ヨコモーション、ワンセグ、プライバシー機能、このほかにもメールのバックグラウンド受信の制御が良くなっていたり、マルチタスク性能の向上も感じ取ることができる機種でした。動作もわりと軽く、とても良い端末でした。
SH-06A NERV
富士通端末大好きだったので、泣きながらもエヴァ愛で機種変更した端末です。外観、フォント、きせかえなど細部までこだわった機種でした。シャープ端末があまり好きではありませんでした。
F-05C
SH-06A NERVを持ちながらもう一台買ったのがF-05Cでした。三菱っぽいスライドケータイでクルクルできるダイアルも特長です。これも使いやすかったです。
Symbian OS
ここまできてお気づきの方もいるかもしれませんが、富士通・三菱・シャープなどはSymbian OSというオペレーティングシステムで稼働していました。最初に持ったのがSymbian機というのもありますが、Symbianが今でも好きです。一方、パナソニックやNECはLinuxを搭載していて、画面のリッチさがなく無愛想なイメージで使っていませんでした。Symbianのサポートも終了してしまい、Symbian組はAndroidに切り替えて「ガラホ」をリリースする流れになりました。NECは事業から撤退し、残るはパナソニックだけです。今回の機種変更で僕もついにLinux端末を手にしてしまいました…。
攻殻機動隊ARISEの世界
攻殻機動隊ARISEでは、サポートの切れた義体でアップデートもなく生きながら朽ちていく話が出てきます。作中では「デッドエンド」と呼ばれ、義体の規格が古くなってアップデートできなくなる問題です。旧パーツの生産も終了しメンテナンスが行われなくなります。今回のモバイルSuica問題も旧製品のアップデートがなくSHA-2証明書の移行で実質的なデッドエンドに見舞われるところが共通しているなと感じました。
攻殻機動隊ARISEの作中では、「技術温存は既得権益の延命、技術革新は巨額のシェア独占を意味する。クルツは前者に賭け後者のシステムに抹殺された。」という会話があります。
国内フィーチャーフォンメーカー勢力と海外スマートフォンメーカー勢力を見ているようでした。
さいごに
携帯の選び方でおっさんになったのを感じた。