IT DART で Increments な takoratta さんから声をかけていただき、IT DARTアドベントカレンダー 21日目を書きます。
今回のタイトルは、「低コストで非常通知受信端末を作った話」で、ITx災害会議2015の発表内容を簡略したものです。
僕はTwitter上で、各省庁から配信された防災情報、気象情報、国民保護情報、報道機関のニュースなどを自動的に集約して配信する@UN_NERV アカウントを管理しています。
時代はPUSH通知時代。上で述べた UN_NERV をはじめ、様々な情報をスマートフォンに通知していますし、いろいろなアプリも絶えず通知してきます。
夜間、スマホの通知があると、「強い地震があったのでは・・・遠地地震かも・・・」「特別警報や津波警報なのでは・・・」などいちいち気になるわけです。ほかにも
せっかく映画館に行っても、通知が気になります。
でも、大抵は災害などではなく「おすすめのイベントがあります」「もうすぐ1万歩達成」など、どうでもいい通知やSNSで「○○さんがおすすめしています」「○○さんが■■さんの投稿にコメントしました」などです。
この残念な通知から逃れようと「おやすみモード」などに設定すると、今度は「気づかないうちに災害が起きているのでは・・・」と心配になってきてしまいます。鳴らないように設定してもそれが心配になって眠れませんし、映画も集中できなくなってきます。
この通知問題はもはや社会問題です。
サーバやサービスの運用担当者から防災・気象業務担当者、放送事業者、医療関係者、公共機関、自治体の方など重要な通知を受ける立場にある方にも当てはまる問題です。
そもそも日本には、重要な呼び出しだけ行われていた時代がありました。
通知問題に悩む若者の悩み、それは、現代ではポケベルが手に入らないということです。
ポケベルは2007年にサービスが終了してしまいました。サービス終了時点に契約していた約29万人の人は今も困っているはずです(たぶん)
そこで、呼び出し専用機を作ることにしました。
まずはインフラを作りましょう。 Gehirn Web Services を作るのに3年掛かりました。
総務省や気象庁などからデータを貰うために交渉をしましょう。
コードを書きましょう。これはすぐできます。
そうすると
こういう感じになります。SMSの送出にはTwilioを使いました。
きょうしたかったのは、この話なのです。大事な話です。
結論から申しますと、 Docomo HW-01G を採用しました。
キッズケータイと言われるものです。ショタコンだから採用したわけではございません。
採用理由を説明します。
まず、PTA推薦、これは大事です。
自分で技適を通すのは億劫ですので、技適が通っている製品にしました。
余計な機能はいりません。いろんなアプリから通知されたりアップデートが頻繁だと困ります。
このコンパクトさが良いのです。
格安SIM時代です。自分でキャリアを作らなくても良いのです。
これです!!月に2回か3回の充電で良いのです。
安い!!手が届く価格なのです。
驚いてください。キッズケータイ、米軍MIL規格に準拠しており、耐衝撃・防塵・防水です。ITx災害の状況下では、IT機器も過酷な現場でも耐え抜かなければなりません。
すごいよキッズケータイさん。
SORACOM Airとか使っても良いですね。僕は DMM.com のSIMを使いましたが、もっと安いSIMもあると思います。なお、格安SIMはパケットを全く使わずに音声契約だけを考えると本家より高くなってしまいます(2年契約前提)ので、音声契約付きで電池が2週間持つ呼び出し端末として使う場合にはドコモ本家で契約しましょう。
遊びで作る場合には、最低利用期間がない契約か事前に確認してください。
実際に先日の地震や津波注意報のときに通知がきました。
僕がこの端末に通知を有効にしている情報は上のようなものです。社内の緊急呼び出しは、Slackで特定のキーワードを含むと通知が飛ぶようになっています。
さらにズボラな人のために、電池残量が低下するとSMSで端末側から通知してくれます。iPhoneを通知先にしているので普段カバンに入れっぱなしでも息絶える前に救ってあげられます。
ところで、docomo網のSMSって災害に強いのでしょうか。SMSは普通、音声交換回線で通信するため交換回線の輻輳時の挙動が心配になりますね。
調べてみますと、2011年末の時点で音声輻輳時に音声網からデータ通信網に切り替わるようになっているということです。初動通報には間に合いそうかなと思います。
この端末を作ってから、スマートフォンを安心しておやすみモードにできるようになりました。
以上、低コストで非常通知端末を作った話でした。